- 8月 17, 2026
- 8月 19, 2026
持病の薬、どう備える?避難所での薬剤師の役割と家庭でのストック術
災害はいつ起こるかわかりません。いざというときに「いつも飲んでいる薬がない!」「持病の持続治療ができない!」という事態を防ぐため、日頃からの備えや災害時の対応を知っておくことが大切です。
医療現場や避難所で薬剤師がどのような活動をしているのか、そしてご家庭で今すぐできる「薬の災害対策」について、日本薬剤師会等の「災害時薬事活動ガイドライン」やマニュアルをベースに分かりやすくまとめました。
1. 災害時、避難所や救護所で薬剤師は何をしている?
地震や水害などの大災害が発生した際、薬剤師は避難所や応急救護所で以下のような医療支援活動を行っています。
• 手元にある薬から「同じ効果の薬」を提案・準備 災害時は普段使っているメーカーの薬が届かないことがよくあります。薬剤師はお薬手帳の情報などから薬の「成分」や「効果」を正しく判断し、その場にある備蓄薬の中から同じ働きをする別の薬(同効薬)を医師と相談して用意します。
• 届いた支援医薬品の仕分けと品質管理 全国から大量に届く支援物資(お薬や衛生用品)を迅速に分類し、必要な場所へ届けます。特にインスリンなどの冷所保存が必要な薬の温度管理や、安全のための施錠管理を徹底しています。
• お薬手帳がない人の「薬の特定」 お薬を持たずに避難された方から「朝飲む小さくて白い血圧の薬」といった情報や症状を聞き取り、どの薬を服用していたのかを特定するサポートをします。
• 避難所の「衛生管理」と感染症予防 手指消毒液の配置、トイレの衛生状態や換気のチェック、エコノミークラス症候群を防ぐための水分補給・運動の呼びかけなど、避難所全体の環境づくりもサポートしています。
2. 今すぐできる!ご家庭での「薬のローリングストック」
災害時に自分やご家族の健康を守るためには、平常時からの備えが不可欠です。そこでおすすめなのが「薬のローリングストック(買い置き&回転備蓄)」です。
① 持病の薬(処方薬)の備え
•常に「+7日〜14日分」の余裕を持つ
「薬が完全に切れてから病院に行く」のではなく、常に1〜2週間分くらい手元に残っている状態で受診・調剤を受ける習慣をつけましょう。
•古い順から飲む
新しい薬をもらってきたら奥に保管し、古い方の薬から順番に飲んでいくことで、常に有効期限内の薬を1〜2週間分ストックできます。
•「お薬手帳」をセットで保管する
薬の保管場所に「最新のお薬手帳のページ(またはコピー)」を一緒に置いておきます。万が一の際、お薬手帳さえあれば避難所等で同じ薬(または同じ効果の薬)をスムーズに手配できます。
② 市販薬(OTC医薬品)・衛生用品の備え
•普段使う薬を「1箱多め」に買っておく
解熱鎮痛薬、整腸薬・胃腸薬、風邪薬、絆創膏、消毒液などは普段から少し多めにストックし、使ったら買い足す(ローリングストックする)ようにします。
•定期的な期限チェック
「防災の日(9月1日)」など、 年に1〜2回は救急箱の中身や使用期限を一斉点検する日を決めましょう。
絶対にやってはいけない盲点(注意点)
•自己判断で間引き服用(減薬)をしない
「ストックを作りたいから」と、毎日飲むべき薬を2日に1回にするなどの行為は、持病を悪化させ災害時以上のリスクを生みます。必ず医師の指示通りに服用しながらストックを作ってください。
•温度・湿度管理に注意する
非常用持ち出し袋を「夏の車内」や「直射日光の当たる玄関」に放置すると、薬の成分が変質します。風通しの良い涼しい場所に保管してください。
お薬手帳の「最新化」を忘れない
薬が変わったのに古いお薬手帳のままでは、災害処方時に間違った薬が届きます。スマートフォンの「電子お薬手帳アプリ」を活用し、処方されたらその場で自動同期・写真保存しておくのが最も確実です。
まとめ:万が一に備えて今日からできること
1.持病の薬は「残り1〜2週間」になったら受診・処方してもらう
2.お薬手帳は常に持ち歩く(またはスマホの電子お薬手帳アプリを入れる)
3.市販薬や衛生用品を少し多めにストックしておく
ちょっとした意識で、災害時の安心感が大きく変わります。ご家庭の薬箱をぜひ一度チェックしてみてください!

参考文献・ガイドライン
本記事は以下の公的ガイドライン・マニュアル等の内容を参考に作成しています。
1. 公益社団法人 日本薬剤師会 『災害時薬事活動ガイドライン』
2. 公益社団法人 日本薬剤師会 『薬剤師のための災害対策マニュアル』
3. 厚生労働省 『災害時の医薬品等の供給体制について』
4. 内閣府 防災情報のページ 『トクする防災:ローリングストックについて』