• 8月 3, 2026
  • 8月 19, 2026

医療用麻薬を使い始めるときに知っておきたい「3大副作用」と「便秘」の対策

がんなどの強い痛みを和らげてくれる「医療用麻薬(オピオイド)」。痛みを抑える強い味方ですが、使い始めにはいくつか注意したい「副作用」があります。

 特に知っておきたいメジャーな3大副作用(眠気・吐き気・便秘)と、ずっと付き合っていくことが多い「便秘」の対策について分かりやすく解説します。

はじめに:医療用麻薬の「3大副作用」とは?

 医療用麻薬を飲み始めたときに出やすいのが、次の3つの症状です。

1. 眠気(出やすい時期:使い始めの数日間)

 薬を使い始めて体に馴染む(耐性ができる)までの間、20〜40%くらいの方に眠気が現れます。

 •経過: ほとんどの場合、2〜3日ほどで体に慣れて治まります。
 •注意点: もし「起こしても起きないほど強い眠気」がある場合は、薬の量が多かったり、他のお薬との飲み合わせが影響している可能性があります。その場合は、薬の量を減らしたり別の種類に変更したりします。

2. 吐き気(出やすい時期:使い始めの数日間)

 こちらも眠気と同様、使い始めに30〜50%くらいの方に現れる症状です。

 •経過: 眠気と同じく、2〜3日ほどで慣れてくることがほとんどです。
 •原因と対策: 吐き気には「胃腸の動きが鈍くなるタイプ」と「脳の吐き気センター(CTZ)が刺激されるタイプ」があります。症状に合わせて、胃腸の動きを助けるお薬や、吐き気を抑えるお薬(抗精神病薬やセロトニン拮抗薬など)を一緒に使ってコントロールします。

3. 便秘(出やすい時期:薬を使っている「ずっと」)

 眠気や吐き気は数日で慣れていきますが、「便秘」だけは慣れることがありません。薬を飲んでいる間は症状が続きやすいため、最初からしっかり対策をしておくことがとても重要です。

なぜ医療用麻薬で「便秘」が起きるの?

 オピオイドが腸に作用すると、腸の動き(蠕動運動)を抑えてしまう性質があるためです。
 もともと便秘予防の習慣がない方でも、お腹が張ったり、便秘が原因で吐き気や食欲不振につながったりすることがあります。そのため、医療用麻薬を使い始めるときは、最初から便秘予防策をセットで行うのが基本です。

◇もともと「下痢ぎみ」だった方の場合は?

 もともと下痢になりやすい方の場合、オピオイドの腸の動きを抑える作用によって「かえってちょうどよい便(普通便)」になる方もいらっしゃいます(※ただし、オピオイドを使っても下痢が治まらない方もいます)。

 つまり、全員が機械的に同じ下剤を使えばよいわけではなく、普段の便の傾向や現在の便の様子(硬さや回数)を確認しながら、その人に合った排便コントロールをしていくことがとても重要になります。

便秘の3大ステップ対策

 1.生活環境を整える: こまめに水分をとり、腸内環境を整えます。
 2.下剤を一緒に飲む: 便を柔らかくして出しやすくするお薬(緩下剤)を併用します。
 3.専用のお薬を使う: それでも改善しない場合は、「オピオイド誘発性便秘(OIC)」と判断し、腸だけに効く特殊なお薬を使用します。


便秘の強い味方「スインプロイク®」ってどんな薬?

 「スインプロイク®」は、医療用麻薬による便秘を改善するために開発されたオピオイド受容体拮抗薬というお薬です。

鎮痛効果を邪魔せずに、便秘だけを改善する仕組み

 本来、脳に届いた麻薬は「痛みを抑え」、腸に届いた麻薬は「動きを止めて便秘を起こし」ます。
 スインプロイク®は、脳を守るバリア(血液脳関門)を通り抜けられない作りに設計されています。そのため、「痛みを抑える効果(脳)」はそのまま残し、「便秘の原因(腸)」だけをブロックしてくれる優れた特徴を持っています。

覚えておきたい、2つの注意点(副作用)

 スインプロイク®は非常に使いやすいお薬ですが、以下の2点には注意が必要です。

1. 急に痛みが強くなることがある(脳のバリアが弱まっている場合)

 脳の手術や放射線治療の経験があったり、脳転移があったりすると、脳を守るバリア(血液脳関門)が弱まっていることがあります。 その場合、スインプロイク®が脳内まで届いてしまい、痛み止め(医療用麻薬)の効果を消してしまうことがあります。もし飲み始めてから急に痛みが強くなった場合は、使用を中止することがあるため、すぐに医師へ連絡してください。

2. ひどい下痢(水様便)になることがある

 人によっては、服薬後に激しい下痢(水のような便)が出ることが報告されています。「指示通り飲まなくちゃ」と無理して飲み続けてしまうと、脱水症状を起こす危険があります。 激しい下痢や水のような便が出たときは我慢して飲み続けず、一旦中止して医療スタッフ(医師・薬剤師・看護師)にご相談ください。



まとめ

 医療用麻薬の副作用は、正しく知ってあらかじめ対策をしておけば決して怖いものではありません。

 •眠気・吐き気: 数日で体が慣れて楽になることが多い
 •便秘: 慣れることがないため、最初からお薬などでしっかり予防する

 「なんだかお腹が張るな」「痛みが戻ってきた気がする」など、気になる変化があればガマンせず、すぐに主治医や薬剤師、看護師に相談してくださいね。

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