- 6月 22, 2026
『やっぱり家で最期を』を叶えるために必要なこと。データから見えた本音と救急搬送のリアル
■グラフで見る:最初の希望と、実際の「看取りの場所」
まずは、一番大きな変化があった「どこで最期を迎えたいか(希望)」と「実際にどこで迎えたか(現実)」の比較です。
看取りの場所 最初の希望(60人) 実際の場所(60人)
おうち(在宅) 26.7% (16人) 51.7% (31人)
PCU(緩和ケア病棟) 60.0% (36人) 33.3% (20人)
一般の病棟 0.0% (最初は希望者ゼロ) 15.0% (9人)
未定・返答なし 13.3% (8人) 0.0%
最初は「病院(PCU)がいい」と答えていた人が6割もいたのに、最終的には半数以上(51.7%)の方が「おうち」で最期を迎えることができました。
■なぜ「病院希望」だった人が「おうち」で最期を迎えられたの?
「最初は不安だから病院(PCU)がいい」と言っていたのに、おうちでの看取りに変わった患者さんたち(15人)には、このような理由がありました。
•症状が落ち着いたから(46.2%)
~医療麻薬などで痛みや苦しみがうまくコントロールされ、「これなら家でも大丈夫」と思えた。
•やっぱり家がいいから(30.8%)
~住み慣れた我が家で過ごすうちに、自宅への愛着や安心感が強まった。
•入院を迷っているうちに急変した(15.4%)
•(郷里に帰れないため)施設へ入所した(7.7%)
訪問診療や訪問看護を上手に取り入れることで、患者さんやご家族が「これなら家で過ごせるかもしれない」という自信と安心感を持てるようになったことが、このデータからもよく分かります。
■綺麗事だけじゃない。見えてきた「急変・救急搬送」のリアル
一方で、おうちで過ごし続けたいと願うからこその「課題」も見えてきました。 今回、病院で亡くなった方の約6割(58.6%)が、実は「救急搬送」による緊急入院だったのです。
① 一般病棟で亡くなった方(9人)の理由
外来経由の3例を除くほとんどが、呼吸不全、ショック状態、消化管穿孔(お腹の臓器に穴があく)など、一刻を争う急変でした。
② PCU(緩和ケア病棟)で亡くなった方(20人)の理由
「看取り目的(5人)」の計画的な入院もありましたが、敗血症、ひどい息苦しさ、てんかん発作、腸閉塞、せん妄など、自宅での治療や介護が限界を迎えての緊急入院が多くを占めました。
■ 家族の本音
緩和ケア病棟(PCU)への入院は、本来はベッドが空き次第の「予定入院」が基本です。しかし実際は、「なるべく最期まで家で過ごさせてあげたい」とご家族がギリギリまでがんばるからこそ、急変時や限界を迎えたときに、救急車を呼ばざるを得なくなるという背景があります。
■早くから「準備」をしていたかどうかで変わる傾向
データを見てみると、最終的に亡くなった場所によって「訪問診療を受けていた期間」や「体の状態」に明らかな違いがありました。
•PCUで亡くなった人:比較的「早くから」訪問診療を始めていた
~ まだ動けるうちから、将来を見据えて「状態が悪くなったらPCUへ行こう」という具体的なイメージを治療病院の医療関係者と共有(ACP=人生の最終段階の話し合い)し、事前の登録も済ませていました。
•おうちで亡くなった人:体が「かなり弱ってから」訪問診療を始めていた
~ 全身状態が悪化し、「いよいよ最期をおうちで迎える」という段階になってから、訪問診療がスタートするケースが多い傾向にありました。
■私たちがこれから考えたいこと
患者さんやご家族の「どこで最期を迎えたいか」という気持ちは、その時々の体調や不安の度合いによって、変化して当たり前のものです。
しかし、
•つらい痛みや苦痛の症状をしっかりコントロールすること
•医療・介護スタッフと信頼関係を築き、不安を一つずつ解消すること
この2つができれば、最初は「おうちなんて無理、病院がいい」と不安がっていた方でも、住み慣れた我が家で穏やかな最期を迎えることは十分に可能です。
ただし、そのためには「いざという時に、いつでもすぐに受け入れてくれる病院」という安心のバックアップが欠かせません。在宅療養を最後まで安心して続けるためには、おうちでのケアだけでなく、地域の病院との強い連携体制こそが何より大切になります。

